大仏殿にそろい踏み

 

※ 本文の後半に、「2026竹灯籠作り説明会」のご案内を添えています。

歩みの先は、それぞれに。

このサイトを通じてご縁をいただいた皆様に、新春を迎えてのご挨拶を申し上げます。
令和八年は午年。古来より馬は行動力と飛躍を象徴し、進む力を授ける存在とされてきました。
お釈迦さまが出家の折、愛馬カンタカに乗って城を後にされた故事は、真理を求めて一歩を踏み出す決意の象徴として伝えられています。

やがて馬は神仏への尊い祈りの供え物ともなり、その後、生きた馬の奉納に代えて奈良・平安時代には板に馬を描いた「絵馬」の習わしが生まれました。
当山にも文珠絵馬の用意もあり、参拝の方が願意を書き奉納されています。
午年の今、馬に託された祈りは勇気と智慧をあわせ授けるものとして、新しい歩みを照らしてくれるでしょう。

冒頭の写真には、中央に干支の吉祥馬、左右に恵比寿と布袋の竹灯籠が映し出されています。その佇まいは新年を象徴する姿であり、三つの福が一堂に居並ぶ光景です。

竹の中からこぼれる温かな光は、ただの飾りではなく、祈りと願いを託した象徴です。ご覧いただく方々、そしてご参拝の方々の一年を照らす導きの灯火となることでしょう。
皆さまにとってこの一年が健やかに歩みを進められる年となりますよう、寺内一同心よりご祈念申し上げます。

 


 

当山十三仏霊場御本尊 札幌大仏 木仏文殊大菩薩様

 

文殊の利剣

遠き昔、山西省五台山に具現いたされた文殊様の尊様を、ここ北の都文殊殿に勧請申し上げ、その尊きお姿を再びこの地に顕しました。
木の中よりお姿を顕された文殊大菩薩様は、計り知れぬ智慧と限りなき慈悲を湛え、願いを抱いて手を合わせる参拝者の心を、静かに温かく包み込みます。
素朴なる木彫の調べは精粋となり、やがて尊き御姿とし現し、この文殊殿に荘厳の光を放っています。

幾星霜の歳月を重ね、その御姿は時の流れとともに色合いを深め、年輪が衣を重ね着するように厚みを宿しています。
祈りを寄せる人々の心を静かに抱きとめ、今もなお光を放ち続けているのです。
お堂に足を踏み入れると、見上げるほどのお姿の札幌大仏 文殊大菩薩の御顔を拝し、穏やかなお顔に出逢ます。堂々と佇むそのお姿は威容に満ちていますが、厳しさよりも柔らかなや安らぎを湛えています。
半眼のまなざしは遠い未来を見通すと同時に、参拝者の心の奥を静かに映し出しているかのようです。

ひときわ目を惹くのが眉間に輝く水晶で表された白毫(びゃくごう)です。白毫は仏の魂を宿す光と伝えられ、すべての仏の姿に共通して具わる尊相です。
札幌大仏文殊大菩薩の御顔に輝くその光は、ただ装飾ではなく、参拝者を導く智慧と慈悲のしるしです。新しい年を迎えた人々は、この白毫の輝きを仰ぎ、未来への希望を託します。
その光は迷いや不安を照らし出し、歩みを進める勇気と安らぎを授けてくれるのです。

どうぞ大仏様の御前に立ち、ひと時手を合わせてみてください。
そこには、きっと祈りの始まりが見いだせます。
静かに気づかせる何かが、心の奥に宿っています。
それは、嵐を経てなお澄み渡る空のように、揺るがぬ静けさを、そっと与えてくれるでしょう。
                                          
静けさの中で文殊様の剣に、そっと触れてみてください。
そのとき文殊の利剣はあなたの目の高さ、そのすぐ前に置かれています。
利剣のはたらきに、あやかるかたちで、その姿はいま、散念棒として示現しています。形を変えてこの棒に宿り、そのことに気づかれたとき、あなたの内から、微笑みがそっと湧き出します。そこに、円満が生まれるのです。

大仏殿では文殊の利剣は振るわれず,折られ、気づかれ、そして微笑みへと変わるのです。
そこに、現代に生きる仏の智慧・断行・円満の深淵が静かに観えてきます。

 


 

文殊の智慧が、静かに心を澄ませたあと、その気づきは、日々の暮らしの中へと現れてまいります。

当山にお祀りする七福神は、
智慧が行いとなり、行いが福として結ばれていく姿でもあります。

当山七福神霊場御本尊
【恵比寿様と布袋様 ―ふたつの福のかたち】

当山では七福神のうち、恵比須様と布袋様を共にお祀りしております。
お二人の姿は、よく見ればずいぶんと対照的です。

恵比須様は、釣竿を持って海に出て鯛を釣り上げ、商売繁盛・大漁満足を願う「行動の神様」。
一方布袋様は、ただにこやかにゆったりと立ち、袋を背に微笑んでおられる「寛(ゆるぎ)の福神」。

――がむしゃらに前へ進む時には、恵比須様の力が頼もしく、
――立ち止まりたい時には、布袋様のやさしさが身に沁みます。

動いて福を得るときもあれば、気づいて福を受けとるときもある。
このお二方の福のかたちは、まるで呼吸のように、
人生に「張り」と「緩み」を与えてくれるものです。

願いの先に福があるのではなく、
すでに今ある「日々の有り難さ」に気づいたとき、
福は、そっと傍らに立っているのかもしれません。
皆さまの一年が、恵比須様の行動力と、布袋様の微笑みとともに、
健やかにめぐりますよう――

こうした福の姿を、
目で見るだけでなく、
自らの手で確かめる機会として──

今年も5月に竹灯籠作りの説明会を予定しております。

 

札幌七福神霊場寺院 ご本尊と参拝ご案内

七福神御名寺院名住所・参拝案内
恵比須尊天金毘羅密寺西区宮の沢1-5-23-21
大黒天立江寺石狩市花畔1-1
毘沙門天隆光寺中央区円山西町2-22-1
弁才天誓願寺中央区南13条西9丁目716
福禄寿光照寺隆光寺にて参拝
寿老人真言密寺江別市向ヶ丘24-10
布袋尊文殊殿金毘羅密寺にて参拝

受付時間 毎日9時~16時
ご宝印料 各300円
(ご宝印料は千円札・硬貨にてお納めお願い致します。)

七福神各尊をご参拝なされ福徳を授かり、輝く本年の歩みをお始めください。

 


 

2026(令和8年)
竹灯籠作り説明会のお知らせ

― 竹に供養の心が宿り、ともる灯が
ゆらぐ時代の自分に、そっと安らぎをくれる ―

◆ 開催概要

日 時:令和8年5月10日(日)
10時開始(正午頃終了予定)※受付は 9時30分より。
場 所:札幌大仏 金毘羅密寺 1階広間
札幌市西区宮の沢1-5-23-21 【電話】011-661-1161 交通アクセスはこちら
持ち物:不要
参加費:無料
定 員:先着20名様(新規にご参加ご希望者)
※孟宗竹はこちらでご用意いたします

◆ 参加登録について(お願い)
本年より、ご参加希望の方には事前登録をお願いすることとなりました。
恐れ入りますが、お寺窓口またはお電話にて、
お名前等のご登録をお願いいたします。

登録受付期間:
令和8年4月1日(水)~5月9日(土)
受付時間:午前9時~午後4時
※時間厳守にてお願いいたします

◆ 内容案内
ご先祖様を、灯りを掲げてお迎えする、古くから受け継がれてきた日本の風習です。

私たちはこの迎え火の灯りに、亡き人への想いと、今を生きる自らの心の内を、そっと重ね合わせてきました。

当山では、そのひとつのかたちとして、竹に明かりを宿す「竹灯籠」を、手作業で一つひとつ丁寧に作り上げています。

このたび、例年通り竹灯籠作りの説明会を開催いたします。初めての方にも分かりやすく、制作の流れや想いをお伝えいたします。

◆ 竹灯籠とは
竹に小さな穴を開けて模様を描き、そこに灯をともす竹灯籠は、祈りと静けさが宿る、手作りの迎え火です。

灯がともるその瞬間、胸の奥にあった悲しみや迷いが、
ふと和らぐこともあるでしょう。

揺らぎやすい時代だからこそ、
「静かに手を動かし、灯をともす」その行為が、ご先祖様を敬う供養のかたちとなり、同時に、自分自身の心を整える時間へとつながっていきます。

◆ どなたでもご参加いただけます
本行事は、どなたでもご参加いただけます。ただし、細かな作業が難しい方(ご高齢の方、視力に不安のある方など)には、無理のないかたちでのご参加をお願いしております。

竹に穴を開ける作業以外にも、下絵の準備や図案選び、仕上げなど、関わり方はさまざまです。
どの工程も、供養の心につながる大切な時間です。

どうぞ、ご自身のペースでご参加ください。

静かな祈りの灯が、亡き人への想いを届け、
そしてまた、ご自身の揺らぐ心をやさしく照らしてくれることを願って――

合 掌

札幌大仏 金毘羅密寺

 

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